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話盡山雲海月情
(かたりつくす、さんうんかいげつのじょう)
この語は徳源寺に通うようになって一年が過ぎた頃に覚えた語です。当時目を通すことの多かった禅籍の紙カバーに書いて常に目に触れるようにしていました。
最近 再びその本を読み直したくなって久しぶりにこの語を思い出しました。
睦友

この語は 「一重山盡復一重」 と云う語の続きです。

一重山盡復一重   一重 山尽き また一重
話盡山雲海月情   語り盡くす 山雲海月の情

この語は碧巌集という禅籍の中で
 馬祖禅師が百丈禅師を大悟に導く時の指導の様子を讃える詩文として出て来ます。
馬祖禅師は幾つかの問答の後いきなり百丈の鼻をグイッと捻ってしまいます。
そのひとひねりが山雲海月の情を語る一捻りであった というのです。

さて その一捻りはともかくとして この語からは
 ” 重なる山山を越えてきた、がまたまた次の山山が連なって・・・
  連なる山々を乗り越え乗り越えてきた・・・
  そんなもの同士が互の積み重ねを認め合い、
  山よ、雲よ、海よ、月よ と見つめてきたところを語り合っている。”
そんな 楽しく和気藹々と語り合う風情も浮かんできます。

曾てふた回りほど年上の先輩たちが
 「お前は南方か 俺は満州だ お互いによく生きて帰ってきたなぁ」
 「さぁ 飲もう!」
と見知らぬ同士で盃を交わしているのをよく見ました。
近年は同じ姿を数年年上の先輩たちに見ています。
 「必死に働いて高度成長を成し遂げてきたんだよなぁ」
これらの会話は決して懐古趣味的なものではありません。
互いに励ましあい親しみ合って進む推進力としての会話です。

こんな景色も まさに「話盡山雲海月情」のように思われます。

これからは
 ” 語る人の言葉の背後にある山雲海月を見落とすことなく聞き取ってゆく ”
そんな心構えでいようと思います。

「睦友」・・・・第16回全国総合水墨画展
 

・・・・・・平成24年9月10日